■子どもの貧困により、何が起こるのか
日本では一定水準以下の手取り所得(一人当たり可処分所得が127万円以下)の家庭で育つ17歳以下の子どもの割合(子どもの貧困率)が11.5%となっており、およそ9人に1人の子どもが貧困状態にあると言えます。これは、G7(主要7カ国)で最悪の結果となっています。ひとり親家庭に限ると貧困率は44.5%まで跳ね上がり、ひとり親世帯の約半数が貧困状態にあるといえます(2023年厚生労働省)。
経済的に困難な状況下に育つ子どもたちに生じる課題は多岐にわたります。
栄養バランスの整った食事が満足に得られない
自宅の学習スペースを確保できないことや学習塾に通えないこと、また親の就労による家庭学習への関与不足等により学力が向上しにくい
習いごとや部活動、映画鑑賞や美術鑑賞など文化的な体験が不足する
診療費が払えずに満足な医療が受けられない
周りの友人と比較し劣等感を抱えてしまう 等
このため、子ども一人ひとりに向き合い、生活や学習の支援や将来を見据えた生活自立のための支援など息の長い取り組みが求められます。
また、貧困は世代間で連鎖すると言われています。経済的な困窮が理由で、学習機会や精神的な成長の機会が得られなかった子どもが成長し、結果として低所得なまま新たな家庭を築き、生まれた子どももまた貧困下での生活を余儀なくされてしまいます。
加えて、低所得な成人が増えるということは将来的な国民総所得の減少につながり、増税や社会保障の減少などに繋がります。
従って、目の前の課題への対応だけでなく、貧困の連鎖を防ぐことを視野に入れた支援が求められます。
■子どもの貧困に対するNPO等の取り組みの一例
<現在の課題に対して>
子どもとその家族に対する食料支援(子ども食堂、フードバンク等)
親に対する就労支援や子育て支援
DV被害などにより親のパートナーから逃げるひとり親家庭への緊急支援 等
<貧困の連鎖を断ち切るために>
無料の学習支援
習い事や部活動への奨励金給付による文化的な体験の保証
自己肯定感や非認知能力(意欲や忍耐力、対応力やコミュニケーション能力など心や社会性に関する能力)等を高めるための体験や居場所 等
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